行政書士は実務経験0で開業してしまう(せざる得ない)ケースが良くありますが、実務経験0で開業すると実際に仕事をこなせるかどうかの前に、仕事を取れるかどうかの壁にぶち当たることになる可能性が高いと思ってます。
実務経験0で開業した人が仕事を取ろうとしたときにどんなことが起きるのか?実体験をもとに語らせていただきます。
① 自分のお客様とはどんな人なのかがよくわからない。
建設業許可なら建設業者さんがお客様。そんなことぐらいはだいたいわかるわけですが、じゃあ、実際にその建設業者さんとやらはどんな人なのかが実はよくわからないということはないでしょうか?
お客様がどんな人なのかわからないと、まずどのような集客手段を取るべきなのかがわかりません。ターゲットが定まらないから有効な集客手段を打つのがなかなか難しい。
集客手段が決まっても、そこにどんな文章を載せるかもターゲットが定まっていないから的外れなものになる可能性があります。結局何を書いたらよいかよくわからず当たり障りのないものになりがちです。
ホームページだと法律の一般的な知識をとりあえず書いてみましたみたいな感じのものができがちです。私もそんなときがありました。お客様がどんな人なのかわからないし、何を望んでいるかもよくわからないので本に書いてあることを参考にして書くぐらいしかできなかったのです。そういうコンテンツも悪くはありませんが、はっきり言うと集客する上では遠回りになると思います。特に田舎では。
②問い合わせが来るのが怖い
実務経験がないと電話が鳴るのが怖かったりします。「知らないこと聞かれたらどうしよう?」「間違った回答をして迷惑をかけないだろうか?」心配し始めたらきりがありません。電話が鳴るたびにドキドキしてしまいます。
問い合わせをもらわないと依頼につながらないけど、その問い合わせが来るのが怖いというどうしようもない時期が私にはありました。
そんな自信のない、恐怖さえ抱いている態度はたぶんお客様にも何となく見抜かれていたかもしれないですね。当然、成約率のダウン要因でしょう。
③相談者のほうが詳しい
相談者は人生がかかっていますし、ネットでいろいろと調べられる時代ですから、事前に自分なりに調べていることが結構あります。そういう方から電話がかかってきて思うのです「あれ、この人のほうが俺より詳しくない?」、こんなとき相手はこっちのことをどう思ってるのでしょうかね?
私の体験談としては、 初めて建設業許可の相談を受けた時の話なのですが
私「ちょっと特殊な事例なので難しいかもしれないですね」
相談者「調べたら取れると思うんですけど。大丈夫でしょ」
私「(本を見ながら)ちょっと待ってください。う~ん大丈夫なのかな?」
絶対こいつ慣れてないな みたいな感じが丸出しでした。ただでさえ自信がないのに、相談者のほうが詳しいことがさらに自信のなさに拍車をかけます。非常に情けない有様でしたが、この時は運よく成約できました。
この成約がなければ、今はなかったかもしれないです…
④ 事例をもっていないので説得力に欠ける
建設業許可をこれまで100件申請している行政書士でも、今まで実績がない行政書士でも許可が取れるかどうかは結局のところやってみないとわからない話です。
どんなに経験を積んでも必ず許可が取れますと言っちゃったら嘘をついたことになってしまいます。でもですね、経験を積むといろいろと事例が蓄積していきますから、相談者と似た事例をもとに今後の予測を述べることができるわけです。
相談者からすると小難しい理論よりも、自分と似たような境遇の人でも許可が取れたという事例のほうが興味を惹かれるし、行動の後押しにもなると思うのです。
100件以上申請していると受ける相談はだいたい今までやった案件と似ている部分が大なり小なりあるものです。でも、実務経験が少ないとなかなか事例を語れないというハンデがあります。
⑤クロージングできない
経験がないと自分のサービスに自信を持てません。やったことがないのですから持てというほうが難しいと思います。自分でも自信が持てないサービスを勧めるということに抵抗を覚えるの人も多いと思います。
また、やったことがない未知の領域に挑戦するという怖さも加わり、見込み客を前にして自分のサービスを積極的に勧めることができないという現象が起きてしまいます。
「ぜひ私に任せてください!」一言言えれば、もう契約してくれそうな相手を前にしてもなかなか言えません。自信がないし、実際自分のサービスの質の低さがわかってますからね。そして、契約を逃し、がっかりすると思うじゃないですか?でも、心のどこかで依頼にならなかったことにホッとしてしまう自分がいたりします。
慣れない業務でお客様に損害を与えることもないわけだし、自分が損害賠償を受けることもありません。情けない話ですけれど、リスクを回避できたことにホッとしてしまうのです。
実務経験0で開業してしまうと仕事がこなせるかどうか以前にいろいろと悩むことがたくさん出てくると思いますがそこを乗り越えないと行政書士で食べていけません。廃業まっしぐらです。
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