年間報酬3000万円超が10年続くコンサルタントの対話術
経営コンサルタントの和仁達也先生が書かれた本です。具体的なトーク例が豊富でできるコンサルタントはここまで考えてしゃべっているんだと驚かされます。
本の帯には「コンサルや士業で、高額&長期契約を望む方におススメです」
とあり、手続きだけしかやらない行政書士には使えるものではないと感じるかもしれませんが、読んでみると手続きだけしかやらない行政書士にとっても取り入れるべきところがあると感じます。
取り入れたい点はいくつもありますが、実際にできるとなるとまた別の話。それでも、これだけはぜひ実践していただきたいというものがあります。私が実際にお客様と話をするときに取り入れていることを3つお伝えします。
1.安心・安全・ポジティブな場づくり
著者によるとコンサルの場で成果を出すための必要なことをあえて一つ挙げるとしたら「安心・安全・ポジティブな場を作ること」だと語っています。
これは、コンサルに限らず、セミナーなどにも当てはまるとのこと。もちろん行政書士がお客様と手続きについて相談や打ち合わせをするときにも当てはまることでしょう。
具体的にどうやったらよいかということは本書を読んでいただきたいのですが、私自身の話をすると安心・安全・ポジティブな場という言葉を知り、少しでもそれを実践しようとすることでお客様との対応も変わってきたと思う。
以前と比べると、お客様と話す場での空気が変わってきたなと感じています。ちなみに私の場合は、これまで手続き上の話しかしないことが多かったのですが、「お客様の将来の夢などを聞き、それを肯定し、さらにたくさん話していただく」このようなことを実践するだけでその場の空気が以前よりもだいぶ明るい感じになったと感じており、良い感じで打ち合わせを終えることができていると感じています。
詳しいことはぜひ本を読んでいただきたいですし、本だけでなくセミナーでも講師の方がいかに安心・安全・ポジティブな場を作ろうとしているのか? といった点などからも意識していくと、理解が深まっていくことでしょう。
2.前置きトーク
著者は、顧客は「事前期待と比べて上か下か」で満足・不満どちらを感じるかが決まってくるという。そして、事前の期待というのは前置きトーク次第でコントロールすることが可能だというのです。
手続きだけする行政書士であっても、この前置きトークというのは非常に重要です。契約前に楽に許可が取れるような印象を与えておいて、実際は顧客は非常に苦労したとなるとおそらく満足感は高いものとはならないでしょう。
だからこそ打ち合わせの段階でいかに顧客の期待を調整するのかが手続きだけする行政書士にとっても重要です。
私の場合は、許可申請を進めていくうえで障害になりそうな点はあらかじめお伝えしておきます。そうするといざ問題が起きてもあらかじめわかっていることですから不満を感じる可能性を下げることができます。
前置きトークの重要性について考えたこともなかったときは、障害になりそうな点があっても事前に説明するの省略してしまっていることもありました。何も問題がなければよいですが、いざ問題が起きると「聞いていた話と違うぞ」となってしまい、怒らせてしまったこともあります。
著者の言葉を借りるなら「先に言えば説明、後で言えば言い訳」ということです。トラブルが起きてから説明しても「最初に言えよ」ということになってしまうのですね。
前置きトークの重要性に気付いてからは後で文句を言われることもほぼなくなってきました。
3.沈黙を恐れない
お客様と話をしていると話好きの方は自分からどんどん話してくれますから会話が途切れることもあまりありませんが、そのようなことばかりではなく自分からはあまり話してくれず、会話が途切れがちで何とも言えない沈黙が訪れてしまう ということもあります。
以前の私は、この沈黙がどうにも苦手で沈黙になったときは何とか話題を探そうと必死でした。
しかし、沈黙は恐れなくてもよいという考え方を知ってから、以前よりも余裕が出てきたように感じています。沈黙しているとき何もしていないわけではなく、お客様も頭の中で整理しているこのように考えることができるようになったことで以前よりもリラックスして、打ち合わせに臨むことができるようになりました。
このように手続きしかしない行政書士でも取り入れることができる点があります。本書は2千円程度ですが、書かれていることを取り入れることで受注率やリピート率を上げられるとしたら元はすぐに取れるものです。
また、本書を読んでいくと「手続きだけをする行政書士でよいのだろうか?」と自分のあり方も考えるきっかけになると思います。実は、私自身まだ「これだ」という自分のあり方を決められていません。いつも悩んでいてまだまだ道半ばというところなのですが…
以上、手続きだけしている行政書士にとっても十分見どころがある本ですので興味があればぜひ手に取ってみてください。
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