行政書士 齋藤
建設業許可を取るためには一定上の経営経験がある方がいないといけませんが、経営経験で一番多いケースが5年以上建設業の経営経験があるというものでしょう。5年以上建設会社で取締役を務めていれば、経営経験ありと認められますが、この5年間が非常勤であっても経営経験として認めてもらえるものでしょうか?
県によって取り扱いが違い場合があるかもしれませんが、2021年6月現在、新潟県でも山形県でも非常勤としての役員経験であっても経営経験としては認めるという扱いになっています。ただし、非常勤でよいのは過去の経験についての話であって、許可申請時は申請する会社で常勤の取締役となっている必要がありますので注意が必要です。つまり、経験がある人の名義を借りて、申請するようなことは違法です。
ご質問のケースですと、まず実家の会社で本当に取締役として登記されていることが確認できるか、登記事項証明書を取得し、調べておくのが良いでしょう。名刺などで「取締役」や「専務」となっている方が、登記事項証明書を取り寄せてみたらどこにも名前がなかったということもたまにありますので。
役員経験があれば、次は役員として就任していた会社が実際に建設業を営んでいたか?ということがポイントとなります。役員でいる間、その会社がずっと建設業許可を維持していたということであれば、建設業を営んでいたと認めてもらえる可能性が高いです(建設業許可を取るだけ取って、工事売上0という会社もありますのでそのようなイレギュラーなケースは事前に要確認です)。許可を持っていない場合は、登記事項証明書での目的の記載や5年間の請求書や注文書を提示することで建設業を営んでいたということを認めてもらいます。
あとは、取締役を務めていた会社から証明をもらう必要があります。ご質問のケースでは経験を積んだ会社が実家の会社なので証明は心配ないでしょうが、中には元の会社と折り合いが悪く、証明してもらえないケースもあるでしょう。このような場合でも役員経験がある方は登記事項証明書を見れば、役員であったことはわかりますので、証明がもらえない場合でも本人証明により何とか認めてもらうことはできると思います。
ただし、これは新潟県や山形県の話です。他の県では基本的に前の会社が存在しているのであれば、前の会社の証明がなければ認められないと言われたことがあります。新潟県や山形県においても窓口によって取り扱いが変わってくることがあると思いますので許可申請前に確認を取るのが良いでしょう。